
高塚和則 - 木工房玄
Kotsuka Kazunori - Mokkobo Gen
栃木県塩谷町の豊かな自然のなかに工房を構える「木工房玄(もっこうぼうげん)」の代表・高塚和則さん。1986年から木工の道に入り、30歳で独立されて以来、日々木と真摯に向き合いながら、暮らしに寄り添う器を作り続けています。
高塚さんは、とても気さくで優しいお人柄ですが、ものづくりに対しては非常に厳しい姿勢を持たれています。
「木は神様に近い存在だと思っています。それをかたちにしていくのが私の仕事です」
そう語る高塚さんが、木という自然の素材に敬意を払い、一つひとつ手作業で削り出す作品には、手仕事ならではの温かみと実直な美しさが宿っています。
科学と手仕事が融合した「ハチの巣彫り」
高塚さんの代表的な意匠が、表面全体に施された「ハチの巣彫り」です。ノミで丁寧に彫り込まれたリズミカルな多角形の凹凸は、見た目の美しさだけでなく、抜群の機能性を備えています。
例えば焼き立てのトーストをのせた際、この凹凸がパンとお皿の間にわずかな隙間を作り、蒸気の通り道となります。木材が持つ天然の調湿作用とこの構造が組み合わさることで、トーストの裏側が蒸気で湿ってしまうのを防ぎ、最後までサクサクとした食感を楽しめます。パンだけでなく、おにぎりや温かい蒸し料理をのせる器としても最適です。
現代の食卓に馴染む美しさと、使いやすさ
伝統的な木工の趣を残しながらも、高塚さんの作品は現代のシンプルな住空間にとてもよく調和します。 直線の筋が美しく並ぶ「木立彫り(きだちぼり)」は、食卓を引き締める額縁のように料理を引き立ててくれます。
また、日々の使いやすさを考え抜いた細やかな設計も魅力です。底面に向かってゆるやかにすぼまるテーパー形状は、重ねたときに美しく収まり、食器棚でも場所をとりません。さらに、料理を主役にする控えめな厚みと、手に取ったときにしっくり馴染む軽さがあり、毎日の食卓でつい手に取りたくなる使い勝手の良さがあります。
さくらとウォールナット、育てる愉しみ
作品には主に「さくら」と「ウォールナット」の木が用いられています。 きめ細かくしっかりとした強度を持つさくらは、使い込むほどに赤みを帯びた温かみのある深い艶へと変化していきます。一方、落ち着いたダークブラウンが美しいウォールナットは、使い込むことで木肌がまろやかな褐色へと変化し、独特の渋い艶が生まれます。
どちらの木材も、日々使い込み、時間をかけてそれぞれの風合いへと育てていくプロセスを愉しめるのが大きな魅力です。
『木工へのきっかけは、やはり、物を作ることが好きでした。
でも、特別上手かったわけではなく、好きなだけでした。
高校までは毎日サッカー浸けでしたが、進路を決めるとき「職人(物作り)の世界で食べていきたい」と思い、この世界にはいりました』
















