
田所照美
Tadokoro Terumi
「土という素材を大切に、ひとつひとつ形にします」
1997年に陶芸の道へ進み、信楽や韓国での滞在制作を経て、現在は埼玉県さいたま市を拠点に活動する陶芸家・田所照美さん。
田所さんの作品の最大の特徴は、一見すると石のような、あるいは深く沈み込む影のような重厚な佇まいと、それを鮮やかに裏切る「驚くほどの軽さ」です。
「炭化焼成(たんかしょうせい)」という、酸素を制限して焼成する技法により生まれた独特のマットな黒色は、食卓に置くだけで静かな奥行きを届けてくれます。
ずっしりと重厚な見た目とは裏腹に、手にとった瞬間に感じる軽やかさは、ろくろで土を限界まで薄くひくという、積み重ねられた確かな技術の賜物。力強い存在感がありながらも、毎日の暮らしで気兼ねなく手に取れる「扱いやすさ」が共存しています。
田所さんの作品づくりにおいて強く感じるのが、暮らしに寄り添う「3つのすぎない」というバランス感覚です。
かわいらし過ぎず:木の実などを模した愛らしい形も、落ち着いた黒の色調によって洗練された大人の雰囲気に。
存在感があり過ぎず:器だけが主張せず、主役である料理をそっと引き立て、どんな食卓にも自然に馴染みます。
シンプル過ぎず:表面の「しのぎ(削り)」や手仕事の跡。無機質になりすぎない、人の手の温もりが小さな喜びを添えています。
「炭化焼成の器は、落ち着いた飽きのこない色合いと質感ですので、どんな料理にもお使いいただけると思います」と田所さんは語ります。
毎日は小さな変化で満ちています。そんな日常に、変わることなくそっと寄り添い、いつもの食卓に安定と心地よさを与えてくれる。田所さんの作品には、そんな確かな包容力が宿っています。
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■陶歴
1997年:
愛知県立窯業高等技術専門校 修了、滋賀県立陶芸の森 創作研修、韓国・慶星大学校にて制作。肥後大津女流陶芸展’97 奨励賞 受賞。
1998年:
抹茶茶碗コンテスト 美術館館長賞、国際陶磁器フェスティバル美濃’98 入選。陶芸財団展 朝日新聞社賞 受賞。
1999年:
埼玉県に築窯。以降、展覧会・クラフトフェスティバルを中心に活動。
2010年以降:
ギャラリー健(さいたま)、ギャラリーFALL(西荻窪)、黄色い鳥器店(国立)、atelier yorimiti(八王子)など各地で個展を開催。
現在、さいたま市にて陶芸教室「アトリエ八朔」を主宰。































